杉並区役所環境マップ
杉並の環境杉並の自然
トップページへ
植物鳥昆虫・クモ自然環境調査緑の返還ちょっと寄り道索引

杉並区自然環境調査    
杉並区自然環境調査の概要へ

出現種類
野生状態107科570種類(変種・品種含む) 植栽94科299種類  データ
 
分布の特徴
古くは青梅街道の杉並木が語源といわれる「杉並」だが、現在の杉並区は、市街化が広範囲に進んでいるため、山地や原野といった広く自然な形でのみどりはない。しかし、区の北西部にある善福寺池を中心とした善福寺公園や、東京女子大学、井草八幡宮などの地域、また、中央部を流れる善福寺川緑地や和田堀公園、大宮八幡宮周辺の地域、そして南西部の久我山、高井戸一帯は比較的みどりの多い地域となっている。これらのみどりは、主として公園、神社、寺院(社寺林)、グラウンドなどの施設、古くからの屋敷(屋敷林)、並木や河川などに見ることができる。

杉並区の植物特性
1.減少する緑被率
緑被率は,1963年の36.96%から,その29年後の1992年には18.97%まで約半減し,その5年後の1997年には17.59%とさらに減少している。

2.善福寺川周辺(北西部・南東部)と神田川周辺(南西部)に偏在する緑地
杉並区の緑地の拠点となっているのは,河川や池,既存の樹林,水生植物群落,植栽地など多様な環境を有する比較的面積の大きい公園(善福寺公園,和田堀公園,善福寺川緑地)である。
善福寺公園のある区の北西部の善福寺池周辺には,そのほか,東京女子大学内の雑木林,井草八幡の社寺林などがある。和田堀公園および善福寺川緑地のある区の南東部の善福寺川沿いには,そのほか,済美山の雑木林,大宮八幡の社寺林などがある。また,区の南西部の神田川周辺にも,施設内や塚山公園に残存する雑木林や玉川上水沿いの斜面林などがある。
杉並区の緑地はこれらの場所に偏在しており,その他の場所は概ね市街化され,小規模な樹林等が点在する程度である。

3.小面積化・孤立化した樹林
杉並区に残存する樹林は,おもに2.で述べた善福寺川周辺(北西部・南東部)と神田川周辺(南西部)に分布するが,いずれも小面積で孤立している。また,都市域にあるため樹林の外縁部(林縁)は舗装道路となっていたり,舗装されていない場合も踏み込みや刈り取りなどの人為的攪乱が高いために,通常は林縁に発達する林縁群落をほとんど伴わない。

4.河川・鉄道沿いに分布する人為的攪乱の高い草地
杉並区にみられる草地は,公園や施設内の芝生を除けば,河川や鉄道に沿って線状にみられる程度であり総面積は少ない。河川や鉄道に沿った草地は,概ね過去に造成の影響を受けており,また人の踏み込みや刈り取りなどの人為的攪乱を受け続けているために,出現種類数は少なく,またこのような環境にいち早く侵入する帰化植物の割合が高い。しかし,比較的攪乱の少ない草原に生育するヤブカンゾウなどもみられる。

5.都市に生育する種類が主体だが良好な自然環境に生育する種類も残存する植物相
区内に広く分布する植物は,イヌタデ,ツユクサ,オオバコ,ハルジオン,ウラジロチチコグサなど,都市に多い環境である路傍,路上,空き地,人家の庭などに生育する植物である。しかし,樹林性のマユミ,リョウブ,ナツハゼ,攪乱の少ない草原に生育するアキカラマツ,クララ,ワラビ,オカトラノオ,ヤブカンゾウ,湿性植物のアカメヤナギ,ガマ,ママコノシリヌグイなど,比較的良好な自然が残存する環境にみられる植物も,種類数,個体数は少ないながらも生育している。

6.都市部としては平均的な帰化率
帰化植物は,攪乱された立地に侵入するため,出現種に占める帰化植物の割合である帰化率は,立地の攪乱度合を指標することになる。植栽種を除いた総出現種に対して帰化率を求めると,今回調査における帰化率は18.9%であり,都市部としては平均的な帰化率である。第1次の18.9%(109種類),第2次の19.7%(127種類),第3次の19.2%(120種類)と比較し大きな変化はない。

7.多種におよぶ植栽種
今回調査における確認種のうち,植栽種は299種類ある。植栽種の多さは,公園など造成された場所が緑地の主体となっている都市部の一般的特性といえる。

調査地点
地点 no.
地点名
調査地点と調査の概要
1 東京女子大 敷地内には、林床が管理されたクヌギ林やシラカシ・ケヤキ林が残存し、随所にタチツボスミレ、タイアザミ、カントウヨウナメなどの在来草本類が生育する。建物の増改築の林地、草地が減少した。大型の樹木やモウソウチクなどを伐採したため、空地に新しく帰化種が増えた。
2 善福寺公園上池 都立公園のためたえず除草など手入れがされているので、草本類については強度に刈られ種の固定が不可能な状態のものも見られる。下草は減ってきたが、日陰に強い種類は個体数が増えた。
3 善福寺公園下池 木本類がよく育つ中で、土の乾燥からかトチノキが枯れてきている。帰化植物の増加が目立った。
4 井草八幡 参道の両側の生垣はよく除草され、本殿裏の林を中心に調査。今回は幼稚園の調査はしておらず、種数は減少した。
5 荻窪八幡 境内裏の林は安定していて、1985年依頼変化はない。庭などよく管理され、草木が侵入する余地はない。
6 観泉寺 杉林、竹林などが伐採された。樹林内はよく手入れされており、下草は少なくホウチャクソウ、フジカンゾウ、イチリンソウなど消滅した。全体によく管理された状態であった。本堂裏、前庭の調査は今回していない。
7 N邸 敷地全体によく樹木や草木類がよく育っていたが、広い駐車場が整備され、モウソウチク林がなくなるとともに樹林がよく管理され、草木は減少した。
8 K邸 屋敷全体の自然が維持され、高木類はよく枝を伸ばし林床には絶えず下草が育つように手入れされている。畑の周囲には草本がよく生育している。
9 A邸 杉並に現存するものとしては規模の大きいシラカシやケヤキを中心とした屋敷林。樹林の樹木が成長し、下草は少ない。
10 玉川上水 玉川上水に沿って、ムクノキ、エノキと植栽されたサクラ類などからなる帯状の樹林。歩道沿いのフェンス内はよく保護され、武蔵野の自然にある種類はよく残っているが、目立つ花は少なくなった。樹木の下はよく除草されている。帰化種のアレチウリなどが目立ってきた。
11 大蔵省 野球場、テニスココートはよく管理された芝生である。空地のネジバナ、シオデ、ハナヤスリなどは確認できなかった。斜面はごみ捨て場となり植物は単純化しカタクリの保護地は下草が多くなってきている。
12 浴風園 正面の自然状態の雑木林は、建物ができたため消失した。新しく大きな建物が2棟建設中で、樹林が減少したため、科、種類とも減少した。

13

三井グラウンド南側 グラウンドとしてよく手入れされ、遊歩道が広くなるなど整備が進んだため、科、種数とも減少したが、宿根性のものは目立ってきた。キンランはよく保護されている。児童遊園地は調査できず。
14 三井グラウンド西側 コナラ、クヌギ、アカシデなどからなる樹林。林床は希少な草本類や雑木林の主要構成主の実生を刈り残し、アオキ、ヤツデなどの刈り取りが実施されている。林内の一部が駐車場となっている。
15 善福寺川緑地1 善福寺川に沿った帯状の緑地の神通橋から成田上橋まで。樹木は管理されており、多くの人が入るので裸地化したところが多い。草地は草刈りがよく行われている。
16 善福寺川緑地2 善福寺川に沿った帯状の緑地の成田下橋から大成橋まで。樹木は管理されており、多くの人が絶えず入るので、林床は裸地化している。草地は草刈りがよく行われている。
17 和田堀公園 高木類の下は、日光が十分当たらないことと、絶えず踏み固められているので、裸地化している。草地は宿根性のものが目立つが、種類は単純化してきている。
18 大宮八幡 参道の両側、境内全体によく管理され、林の下は裸地化している。神社の裏は調査していない。参道と善福寺川の間の調査を行った。
19 わんぱく広場 公園として整備されてきたので、在来種は少なくなり帰化種が増えてきた。ヤマモモ、トウカエデなどの植栽が多い。
20 済美山 雑木林の残っているところではあるが、林床はよく草が刈られていて下草は少なくなった。西側の林床は発達している。林内のヤマユリなどは消えてしまった。
21 富士銀行グラウンド 敷地全体が自然環境に配慮した保護がなされている。西側の一角の樹林内は自然のままでアズマネザサが全面に広がり、つる植物も繁茂しており、手入れはされていない。
22 真盛寺 本殿の改築、古裡の横の建材などが改築され、樹木は強い剪定を受け、新たに植栽種も増加した。墓地が増えたので草地は減少した。
23 妙法寺 ケヤキを中心とし、シラカシ、スダジイ、イチョウなども混ざる寺社林。林床にはアジサイ、ジンチョウゲ、ツツジ、チャノキなどの低木類が植栽され、人の立ち入りがある。
24 和田堀公園観察の森 高木類はよく育っていて、林床は暗く下草は少ない。ソデ群落はよく下刈りされ、つる植物が除かれたので、草木類の種類が増加してきた。
25 塚山公園 高木類がよく育ってきたので、林床は日陰に強い植物が、科・種数ともに増えてきている。
26 神田川2 護岸は両面コンクリート二面張りで、川の中にはタマミクリ、カナダモ、クロモなど確認できる地点がある。大蔵グラウンド側のミズキの大木、クズ、イタドリなどが目立ち、サクラ並木がよく育ってきた地点もある。遊歩道は舗装された中に、ナガミヒナゲシ、アケリカフウロ、ハルジオン、チチコグサモドキなどの帰化植物が増加してきた。
27 神田川3
28 神田川4
29 神田川5
30 神田川6
31 善福寺川1 上流の護岸は三面コンクリートで水量も少ない。遊歩道も舗装され、そのわずかな隙間から植物は細々と生育している。中流では水量も多く、流れの幅も広がって、護岸も斜面となり、ナガミヒナゲシ、ヒメツルシバ、ユウゲショウなどが増加してきた。斜面は絶えず除草されているので、種数は少なくなった。イネ科カヤツリグサ科は確認できないものが多かった。環七から合流点までは遊歩道が道路となり、全く植物は生育していない。護岸の植物のみを調べた。
32 善福寺川2
33 善福寺川3
34 善福寺川4
35 善福寺川5
36 妙正寺川 たえず除草が行われているので、正確な調査ができないところであるが、その中で帰化植物が増加した。
37 井の頭線 線路の柵の外や橋の上からの調査であるが、斜面は草木の繁った地点もサツキ類の植栽が行われ、自生植物の育つ場所は狭められた。科数・種数ともに増えた中で、ナガミノヒナゲシ、セイタカアワダチソウ、チチコグサモドキ、ハルジオンなどの帰化植物や逸出植物が増加した。
38 M邸 屋敷林の周囲をフェンスで囲ってあるため、周囲の下草はよく育っている。林内は暗く下草が少ない。周囲のフェンスにはカナムグラ、ノハカタカラクサが増えている。

杉並区自然環境調査の概要へ